バラ色の人生は、バラとのお付き合いで深まる。
北半球にのみ自生するという、バラの原種は150~200種あるそうです。日本にも16種あり、意外とたくさんの野ばらが自生しています。そのうちの3種は、現代バラの育種に大きな役割を果たしました。
そのバラは、ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナス(ハマナシ)の3種です。日本の野山に雑草と同じようにたくましく群生していましたが、最近は大規模な護岸工事や開発により、かなり減っているそうです。
ノイバラは、どこででも見かける白い小さな5枚の花びらを持つバラです。花をたくさん咲かせるので、その多花性がバラの育種に取り入れられ、房咲きのバラができました。
また、つるバラの作出にも欠かすことのできないバラとされています。
テリハノイバラは、名前の通り、葉に光沢があり丈夫です。これもつるバラの改良やバラの台木に欠かせないバラです。
ハマナスは、秋になると平たく熟す実が梨に似ているので、ハマナシとも言われます。
ハマナスの実にはビタミンCが多く、食べることができます。私が通っていたバラ園は、秋になるとハマナスの実がたくさんなっていました。でも熟す頃になると、動物たちが食べるのか、毎年一つ残らずきれいに消えてしまいます。どんな味なのか、食べてみたいと思っていたのに、残念です。
ハマナスは、耐寒性と病気に強いハイブリッド・ルゴサという系統群を生み出しました。
日本の野ばらは、モダンローズとはほど遠い、一重の小さな花がほとんどです。でも、とてもかわいらしく、味わい深いのです。
日本の野ばらを集め、一種類ずつ、花、葉、つぼみ、果実、トゲ、托葉の写真を載せ、詳しく解説した「野ばらハンドブック」御巫由紀(著)大作晃一(撮影)という小さな本があります。
小さい本ですが、とても丁寧に作られていて、花のない時期でも、葉や実を調べるのに便利です。ぜひ、一度お手に取ってみてください。
バラは人間と深くかかわってきた植物なので、バラに連れられどんどん興味が広がっていきます。バラの姿かたち、香りだけでなく、柔軟性に富んだその存在そのものに、魅かれていくのです。
バラ色の人生は、春と秋のバラシーズンだけでなく、バラと関わることの楽しさによって、それまでにない世界が開けてきます。
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