バラ色の人生に欠かせない、お気に入りのバラ。

かつての私のように、自分の人生がショボくてつまらないと思っていては、毎日が楽しくありません。

災害や病気、ケガ、老化、家族のこと、あれやこれや心配事は尽きませんが、それでも生きている自分を、よくやっているなぁと認めてあげると、自分の人生も悪くないなと思えるようになったし、もう少し人にやさしくしたいと思うようにもなりました。

何がいいのか悪いのか、価値観は多様だし、かといって信じる神様もなく、哲学も信念もこうなりたい人もいませんでした。

なんとなくあいまいなまま、いったいこれから先、どうやって生きていけばいいのか、そんなことをじっくり考える心の余裕もなく、毎日はあわただしく過ぎていき、疲れ果てて夜が来ることの繰り返しです。

そんなときに、バラ園や花屋で見つけたバラの花をイメージしたり、一本だけ買ったお気に入りのバラを花瓶にさし、自分のそばにおいてみます。

夜、洗濯物を干すときに、柔軟剤ではない、本物のいい香りがしてきます。目をやると、咲こう、咲こう、とする健気なエネルギーが感じられます。

このバラは、遠く外国から輸入されてきたんだろうか、それとも日本のどこかで大切に育てられ、ここまでやってきたんだろうか。そんなことを、ほんの少し思うだけで、ゆたかな気持が流れます。

バラのすごいところは、昔から人を癒し、魅了してきたことです。

その姿かたち、うっとりするような香り、色。バラに興味を持つと、バラの花そのものの多様さ、香り、品種、そして人間との関りの歴史。自分の好きなバラがどんな背景を持つのか、知りたくなるのです。

そして、自分のお気に入りのバラを見つけると、現実がどんな状況であっても、それはそれとして、眺められるようになります。

それが、バラ色の人生のはじまりです。

  

来週は、そんなバラたちの原種についてお伝えさせてください。